広告代理店さんがコンサルさんを競合だと言う理由 - 足ることを知らず〜Don’t Feel Satisfied 〜
広告代理店さんがコンサルさんを競合だと言う理由
どうして、広告代理店がコンサルを競合と言うのか。
さいきん、広告代理店さんが「コンサルティングも我々の領域(キリッ」とよく仰っております。
大きな総合代理店だとどこでも「戦略コンサルティング」「ブランドコンサルティング」的な部署が作られているのですね。ついでに、システムコンサルティング的なものは、レベルの違いがあるにせよ、企業サイトを手掛ける際にある程度近いサービスを提供していると思います。
で、上記のようなことを言い始めた理由は二つあります。
一つ目は「業務領域の近さ」。確かにコンサルティングと広告代理店の業務領域はそこまで遠くはない場合があるようです。商品設計とか、コミュニケーション設計とかね。事例はとても少ない上に、似て非なるモノではありますが。
二つ目は「コンサルティング裁量領域の拡大」。実はこれが一番大きかったりします。要は様々なコンサルティング会社がパフォーマンスを拡大するのに伴い、これまである程度「川上」だった代理店のサービスが、相対的に「川下」になりつつあるのですね。
三つ目は「マスメディアモデルの崩壊」です。誤解してほしくないのは「マスメディア」が崩壊したのではなく、マスメディアの仕切りだけでお金が取れる時代が終わったということ。
企業は利益の最大化を行う方法
ちょっとわかりにくいかもしれないので下記に例を挙げてみましょう。
メガホン屋さんとアドバイス屋さん
お客さんは「企業=法人」として以下の話を読んでください。
お客さんは、自分の商品、若しくは自分自身を皆に知ってほしい、好意的に思って欲しいと思っているわけです。
この時、マス広告という物凄く多くの人に話しかけられるメガホンを独占している人がいました。
メガホンを独占している人は、メガホンを貸すだけでなく、メガホンを誰にいつ貸し出すか、メガホンで何を言うかということまでお客さんにサービスとして提供しました。
メガホン自体が貴重だった上に、メガホン以外に皆にメッセージを伝える方法を持たなかったお客さんはこぞってメガホンを取り合いました。
そんな中、商品や、お客さん自身についてアドバイスをしてくる輩もいました。しかしながら、とりあえずメガホンでデカく叫んでいれば、皆注目しましたし、皆が魅力的だと思ってくれた時代でした。日本は世界のトップをひた走り、「日本の製品=世界一」というような相当の自信があったので、アドバイスを仰ぐ必要はなく、逆に世界のお手本となっていたのです。アドバイス屋さんは、日本のお客さんの優秀なコスト構造や製品生産法をアメリカのお客さんに注入していました。こんな時代だったので、日本のお客さんに面と向かってアドバイス出来る人達も凄く少なかったわけです。
銀行内部監査人は何をしている
しかしながら、世の中は少しずつ変わっていきました。
まず、大きな叫び声をダンダンうざいと思う人が出てきました。だって、そんなあからさまにアピールされなくても、作品やお客さん自身については自主的に情報を集めることが簡単になってきたから。
人々の生活が少しずつ変化して、メガホンは以前ほどの影響力を持たなくなってきたのです。
そして、日本企業も「叫んでいるだけで売れる」時代が終わったことに気付き始めました。更には「売るだけでなく、安く作る技術」だったり、「売るべきものの選択と集中」が重要であるということにも気付き始めました。
気がつくと、メガホンは以前の人気を維持できず、欲しがる人は以前よりも少なくなりました。
メガホンを独占していた人は少し安くメガホンを貸したり、メガホンで叫んだ後にアンケートを取ってその効果を顕示することでメガホンの魅力を維持しようとしました。
しかしながら、上記の「少しずつの変化」は株価のように「以前に戻ること」がほとんどない、恒常的で不可逆的な変化でした。メガホンを貸す職業だけでは、成り立たなくなっていったのです。
そんな中、アドバイス屋さんは、日本企業に対してもアドバイスをするようになりました。そのアドバイスの中にはこんな一言もありました。「高いお金で借りているメガホンは本当に意味があるんですか?」「意味がないならやめましょう」。
ドーナツ事業の重要な成功要因は何ですか
メガホン屋さんは未曽有のピンチに陥っていました。
しかも、これに加え、ボトムアップ式経営からトップダウン式経営へのシフトが起こっていました。アドバイス屋さんは裁量権の強いトップ層の部署に、メガホン屋さんはその下に入る広告部署にサービスを提供していました。
メガホン屋さんは、依然として、「メガホン貸し」がメインの収益源であるものの、その収益源を終わらせないためにも、業務を拡大することにしました。その一つが、企業と消費者のコミュニケーションに関する「アドバイス屋」さんだったのです。メガホンで叫ぶことについてはワンストップでサービスを提供していた彼らには商品や企業に関する知見が沢山ありました。また、コミュニケーションという領域では、沢山のアドバイスを企業に提供していたのです。
決定的な違い
と、話を進めてきましたが、決定的な違いがいくつかあります。
・広告代理店はアドバイスだけでなく、「実行」までやり遂げる。
・コンサルは広告代理店が提案出来ない「コストカット」の提案が出来る。
上の実行までやり遂げるというのは、企業規模を見ればわかることで、逆の見方をすると、実行までやり遂げないと、マンパワーを最適に回すことが出来ないという言い方が出来ます。
二つ目はコンサルティング業務としては致命的です。より広い視野で提案が出来るのはコンサル会社でしょう。逆にいえば、自分たちの唯一の領域である売上を伸ばす方向の提案に関しては、広告代理店は絶対に負けてはいけないとも言えます。
大きく売り上げを伸ばす施策なら、広告代理店だし、効率化・合理化を目指すのなら、コンサルにアドバイスをもらうというのがあと数年続く気がします。
というわけで、正確には全然競合ではないのですね。特にコンサルティングからすると。
0 コメント:
コメントを投稿